本革の種類の違いと選び方|コードバン・ブライドル・ヌメ革・栃木レザーをやさしく解説

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「本革」と書いてあるところまでは、決めていた。

問題はその先だった。財布の商品ページを開くと、コードバン、ブライドルレザー、ヌメ革、栃木レザー。同じ「本革」なのに名前がいくつも並んでいて、値段は1万円台から3万円台までばらばら。何がどう違うのか、画面の前で手が止まった。

合皮の財布の角が白くなってきて、そろそろ本物に替えたい。それだけのことなのに、種類が多すぎて選べない。店員に聞けば早いけれど、勧められるまま高いものを買って、手入れで失敗したら怖い。そんな気持ちでした。

この記事は、そのとき自分が知りたかったことを並べたものです。良いところだけでなく、水に弱い・傷がつく・重いといった弱点も正直に書きます。読み終わるころには、「自分の使い方ならこれだ」と一つに絞れているはずです。

目次

本革の種類は、何で違うの?まず「鞣し」だけ押さえる

違いの大半は、2つで決まります。「どう鞣すか」と「どの動物のどの部分か」。ここだけ分かれば、あとの名前は怖くありません。

鞣し(なめし)は、動物の皮を腐らない「革」に変える工程のこと。今の革は大きく2通りです。植物の渋を使う「タンニン鞣し」と、薬品を使う「クロム鞣し」。世の中に出回る革の9割ほどはクロム鞣しと言われています。

この2つは性格が逆です。タンニン鞣しは時間も手間もかかるぶん、使うほど色艶が深まり、育てる楽しみがある。そのかわり水や傷には気を遣います。クロム鞣しは軽くて水や傷に強く、扱いが楽。ただし経年変化は穏やかです。

この記事で扱う4種のうち、ブライドルレザー・ヌメ革・栃木レザーはタンニン鞣しの仲間です。素材は牛革。残るコードバンだけが、馬の革という別系統になります。

タンニン鞣しとクロム鞣し、何が違う?

ざっくり言えば、育てる革か、気楽な革か。

タンニン鞣しは、ミモザやオークといった植物の渋に皮をじっくり漬け込みます。繊維がきゅっと締まって丈夫になり、手の脂や日光で飴色に変わっていく。手をかけた時間が、そのまま表情になる革です。

クロム鞣しは薬品で短時間に仕上げます。色や型押しの加工がしやすく、雨の日も神経質にならずに使える。変化を楽しむより、道具として気軽に使いたい人に向きます。

「育てたいのか、気楽に使いたいのか」。まずこの一本の軸を持つと、4種の違いがすっと入ってきます。

コードバンとは?「革のダイヤモンド」と呼ばれる理由と弱点

コードバンは、馬のお尻からほんの少しだけ取れる希少な革です。強さと艶は別格。そのかわり、水に弱いという大きな弱点があります。

希少と言われるのには理由があります。コードバンは、農耕馬の臀部にある「コードバン層」という厚さ2mmほどの層だけを削り出して作ります。馬革そのものの流通が少ないうえ、良質な原皮は欧州の限られた農耕馬から。1頭から取れる量はごくわずかで、削ってみるまで質も有無も分かりません。これだけ条件が重なれば、価格が上がるのも納得です。

それでいて、繊維の密度は牛革の3〜5倍ともいわれます。「グレージング」という工程で表面を磨き上げると、ガラスのような深い光沢が生まれる。財布を取り出す一瞬、指先で艶がわずかに動く。合皮を使っていた頃には無かった手応えが、ここにあります。

弱点も隠さず書きます。最大の敵は水です。表面が樹脂でコーティングされているわけではないので、水が付くと寝ていた繊維が立ち上がり、表面が盛り上がって光沢が抜ける。いわゆる「水ぶくれ」です。傷もつきやすい。ただし浅い傷なら、繊維がまた寝てくれて目立たなくなる再生力があります。そして価格は高い。ここを面倒と感じる人には、つらい革かもしれません。

向いているのは、特別な1点が欲しい人。手入れの一手間も含めて、革と付き合うのを楽しめる人です。

コードバンの本物を、素材から見てみたい方へ。コードバンの材料を作っている数少ないメーカーが、自分たちのブランドとして仕立てているのがUNIQUEON(ユニコーン)の公式サイトです。素材の出どころが分かるぶん、コードバンの理解が一段深まります。

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コードバンはなぜ水に弱い?濡れたらどうする?

濡れると、磨いて寝かせた繊維が起き上がってしまうからです。

だから雨の日に、むき出しでポケットから出し入れするのは避けたい。もし濡れてしまったら、こすってはいけません。乾いた布でそっと押さえて水分を取り、風通しのいい日陰でゆっくり乾かす。ドライヤーや直射日光で一気に乾かすのは逆効果です。

慣れれば負担ではありません。雨の日はバッグの内側に移す。それだけで、コードバンの艶は長く保てます。

ブライドルレザーとは?白い粉「ブルーム」の正体

ブライドルレザーは、英国で馬具のために作られた牛革です。表面に浮く白い粉「ブルーム」が目印で、コードバンより水に強いのが特徴です。

名前は、馬の頭に着ける馬具(頭絡)に由来します。14世紀ごろの英国で、人を乗せ、雨に打たれても切れない強さが求められた。その答えが、タンニン鞣しに油脂を重ねたこの革でした。植物の渋に約18週間ほど漬けて、固く仕上げる。さらに牛脂・蜜蝋・魚油などのグリースを、繊維の奥まで塗り込みます。

表面の白い粉ブルームは、このグリースが冷えて固まって浮き出たもの。雨の多い英国の気候や、馬の汗から革を守るための知恵です。仕上がりは硬く、陶器のような艶。型崩れしにくく、持つと「しっかりした」と感じます。使い込むうちにブルームは少しずつ落ち、かわりに上品な光沢が出てくる。その移り変わりが、この革のいちばんの見どころです。

弱点もあります。油分を含むぶんコードバンよりは水に強いものの、防水ではありません。濡れたら拭く一手間は要ります。乾燥して屈曲部がひび割れないよう、たまの保湿も必要です。厚みがあるぶん、同じ財布でも少し重い。

向いているのは、手入れはなるべく最小限にしたい、でも革が育つ楽しみは味わいたい人。タンニン鞣しの革の中では、扱いやすい部類です。

ブルームは拭き取っていいの?手入れは?

拭き取っても、そのまま育てても、どちらでも大丈夫です。

早く艶を出したいなら、柔らかい布やブラシで軽く磨くとブルームが落ちて光ってきます。白いままの表情を少し楽しみたいなら、そっとしておく。正解は一つではありません。

普段は乾拭きとブラッシングで十分。表面がかさついてきたら、革用クリームをごく薄く伸ばして拭き上げます。屈曲する部分だけは乾燥で割れやすいので、そこを意識して保湿すると長持ちします。

ヌメ革と栃木レザーは何が違う?(実はほぼ同じ)

先に誤解をほどきます。栃木レザーは「革の種類」ではなく、日本のタンナー(革を作る会社)の名前です。中身はヌメ革。だから「ヌメ革と栃木レザー、どっち?」という比べ方は、そもそも対立していません。

ヌメ革とは、タンニン鞣しで仕上げ、型押しなどの表面加工をほとんどしない牛革のこと。「最も革らしい革」と呼ばれます。加工で隠さないぶん、牛が生きていた頃のシワや血筋、小さな傷がそのまま表情になる。これを革好きは「ナチュラルスタンプ」と呼んで、天然の証として楽しみます。

栃木レザーは、そのヌメ革を作る代表的な作り手です。栃木県で1937年から続く会社で、今では珍しい「ピット鞣し」を守っている。タンニン液を張った大きな槽に、革を約20日かけてじっくり漬け込む昔ながらの製法です。手間をかけたぶん繊維が詰まって丈夫で、姫路レザーと並んで国内外から評価される国産革になりました。

ヌメ革の魅力は、なんといっても経年変化です。買ったときは生成りに近い淡い色。それが日光や手の脂で少しずつ濃くなり、半年、一年と使ううちに深い飴色へ変わっていく。育つ過程そのものが楽しい革です。

弱点もはっきりしています。革の中でいちばん水に弱い。使い始めはコーティングが無く無防備なので、雨でシミになりやすく、色移りやカビにも気をつけたい。傷もつきやすい。気楽さで言えば、いちばん手がかかる革です。

向いているのは、変わっていく過程を楽しみたい人。国産にこだわりたい人です。

ヌメ革の「日光浴」って必要?最初の手入れは?

必須ではありません。ただ、やっておくと革が長持ちします。

使い始めのヌメ革は油分が少なく、デリケートな状態です。カーテン越しのやわらかい光が入る窓辺に10日ほど置くと、革の中の油分がじんわり表面に浮き、薄い膜になって水や傷から守ってくれます。日が当たる向きを時々変えて、焼きムラを防ぐのがコツです。

普段の手入れは乾拭きで十分。半年ほど使って乾いてきたら、革用オイルやクリームを少量。付けすぎるとシミの原因になるので、薄く、が鉄則です。

結局どれを選べばいい?4種をまとめて比較

決め手は3つだけです。どう使うか、予算はいくらか、手入れにどこまで手をかけられるか。先に全体像を表で見てください。

革の種類特徴水への強さ経年変化向く人手入れの難度
コードバン(馬革)ガラスのような強い光沢・繊維が緻密(密度は牛革の3〜5倍とも)・希少弱い(水ぶくれ)艶がさらに深まる特別な1点が欲しい・人と被りたくない高め(水に注意)
ブライドルレザー(牛革)英国馬具由来・ブルーム・硬く陶器のような艶比較的強い(防水ではない)ブルームが落ち艶が増す手入れは最小限・でも育てたい中くらい(乾拭き中心)
ヌメ革(牛革・総称)表面加工なし・ナチュラルスタンプ・最も革らしい弱い(最も水に弱い)生成りから飴色へ育つ過程を楽しみたい高め(使い始めは無防備)
栃木レザー(牛革・国産タンナー)ヌメ革の代表的作り手・ピット鞣し・国産で評価が高い弱い(ヌメ革と同じ)深い飴色へ国産にこだわりたい高め(ヌメ革と同じ)

価格は確認時点で変わります。最新は各ブランドの公式で確かめてください。表を踏まえて、使い方別に絞り込みます。

手入れが苦手・初めての本革なら?

ブライドルレザー、または素直な牛革をおすすめします。

ブライドルは油分をたっぷり含むぶん水に比較的強く、普段は乾拭きで足りる。最初の1点として、神経質にならずに使えます。タンニン鞣しの革が初めてなら、ここから入ると失敗が少ない。

育てる楽しみを最優先するなら?

ヌメ革か、栃木レザーです。

生成りから飴色へ、自分の手で色を深めていく感覚は、この2つが一番わかりやすい。水や傷に気は遣いますが、その手間ごと楽しめる人には、これ以上ない相棒になります。国産の作り込みを重く見るなら、栃木レザーが安心です。

特別な1点・人と被りたくないなら?

コードバン一択です。

希少で、光沢も別格。名刺や財布を出す一瞬に、静かに効く革です。水の扱いにだけ気をつければ、長く付き合えます。

手の届く価格で本物の上質レザーを、ビジネス用にも普段使いにも探している方は、30〜50代に支持されるCIMABUE(チマブエ)の公式サイトも候補になります。コードバンや上質な革小物が揃っていて、艶の出方やコバ(革の切り口)の仕上げまで見比べられます。

どの革にも共通する「水濡れ」の付き合い方

ここまで何度も出てきましたが、本革はどれも水が苦手です。種類を問わず、ここだけ押さえておけば長持ちします。

濡れてしまったら、合言葉は「こすらない・押さえる・陰干し」。乾いた布でそっと水分を吸わせて、風通しのいい日陰で自然に乾かす。慌ててドライヤーや直射日光に当てると、革が硬くなったり変色したりします。

普段は、乾いた布でほこりを払い、たまにブラッシング。乾いてきたと感じたら、クリームを少量だけ。良かれと思って厚く塗ると、逆にシミやベタつきの原因になります。手をかけすぎないことも、立派な手入れです。

まとめ:種類が分かれば、本革選びはもう迷わない

名前が4つ並んでいても、軸は2本だけでした。馬革か牛革か。育てる革か、気楽に使う革か。これさえ分かれば、商品ページの専門用語に、もう手は止まりません。

最後にもう一度。手入れが苦手で初めての本革なら、ブライドルレザー。育てる過程を楽しみたいなら、ヌメ革か栃木レザー。特別な1点で人と被りたくないなら、コードバン。水濡れにだけ気をつければ、どれも長い相棒になります。

実物の艶は、写真で見るより一段深いものです。気になった革を、公式サイトで質感と最新の価格まで確かめてみてください。コードバンの本物を素材から見たくなったら、その入口としてUNIQUEONの世界をのぞいてみるのがおすすめです。

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